素敵な山レディー
台風15号が接近した9月8日に、長野県、鳥倉登山口から入山し、塩見岳、間ノ岳、北岳を縦走してきました。
台風が影響して、山行の前半は人と会うことがありませんでした。本来の山と正面から向かい合えるような、とても良い時間でした。
色々あって、4泊5日の旅を終え、甲府駅近くの銭湯で体を清めて、新宿行き特急電車に乗り込んだ時のことです。
突然、近くの女性が私に親指をたてて、「いいね」の合図をして話しかけてきた。
「どこの山? 縦走?」
「はい、南アルプスです。」
「私はね、70歳を過ぎてから100名山を登ったのよ。歩くっていいわね」
すごい! 100名山の中には険しい山があります。それを含めて全て登ったなんて。実際はツアーだったそうですが、それでもすごいと思う。
北高尾山稜の山道でも、素敵な山レディに出会ったことがあります。
主稜線の高尾から陣馬の続く道とを比べると、北高尾山稜の道は険しくて立派な山道です。高尾山域にもこんな山らしい道があるのかって感じ。
そこを腰の曲がったおばあちゃんが登っていました。主稜線の道との合流まで後一歩、堂所山山頂で、少し話をしました。
「こんにちは、お達者ですね。よく登ってきましたね。陣馬山までもう少しですね。」
「いや、わたし、なんども挑戦して、ようやくここまで登れて嬉しい。少しづつね、陣馬山まで近づけているのよ。でも今日はここまでだわ。陣馬高原キャンプ場の方に降りるわ。また今度来るわ。」
このおばあちゃん、どうしてこんなに頑張れるのだろう。
わたしは、頭の中で妄想する。きっと亡くなったおじいちゃんの趣味が山登りで、陣馬やまの話を聞いていたのだろうって。
70歳を過ぎて100名山の人。腰が曲がっても山頂を目指すおばあちゃん。
人生、こうじゃなきゃ。
「好きなことをやる」ってことは、人生が輝くってこと。